CloudOneとVisionOneでS3のファイルをスキャンする製品をコスト比較してみた

2024.04.26

こんにちは、シマです。
皆さんはS3のファイルに対してマルウェアスキャンをしていますか?トレンドマイクロ社が提供するセキュリティサービスの1つに「Trend Cloud One - File Storage Security(以降C1FSS)」という製品があり、Amazon S3のファイルに対してマルウェアスキャン機能を提供してくれます。そして、既にC1FSSの後継製品として「Trend Vision One - File Security「Storage」スキャン(以降V1FSS)」という製品が発表されています(2024年6月ごろ利用開始予定)。

これから導入するのであれば、後継製品であるV1FSSを導入したいという考えが一般的だと思います。しかし一方で、先程のページで案内されているV1FSSの料金体系がC1FSSと異なる点や、現時点でC1FSSの提供を終了する予定がないことが名言されている点から、C1FSSとV1FSSどちらを導入すれば良いのか悩んでしまいますよね。そこで、今回は2022年4月時点でどちらがオススメかまとめていきます。

いきなり結論

コスト重視の場合

詳細は後述しますが、多くのケースでC1FSSの方が安価になります。そのため、コスト重視の場合はC1FSSをご利用頂く方が良いと考えます。

将来的な機能拡張や寿命の長さ重視の場合

V1FSSは現在機能拡張やアップデートが頻繁に行われているTrend Vision Oneの機能です。そのため、約束されているわけではないですが、将来的な機能拡張が期待できます。また、V1FSSはC1FSSの後継製品と謳われていることから、C1FSSより先にEOLを迎えることはまずないと言えると考えます。そのため、将来的な機能拡張や寿命の長さ重視の場合はV1FSSをご利用頂く方が良いと考えます。

一例でのコスト比較

C1FSSの料金体系は以下の通りです。

課金階層 1時間あたりに検索されるファイル数 1時間あたりのコスト(USD)
無料 1時間あたり1-20ファイルの検索 無料
低価格帯 1時間あたり21-200ファイルの検索 $0.42
中価格帯 1時間あたり201-400ファイルの検索 $0.63
上位価格帯 1時間あたり401~2000ファイル $1.155

Trend Vision One – File Security(以降V1FS)としての料金体系は以下の通りです。

課金対象 必要Credits数 補足
年間50万ファイルスキャンごと 5,000 Credits スキャン対象となる年間のファイル数に応じて購入

※V1FSSはV1FSと同じ料金体系である前提で話を進めて行きます。

上記のままでは比較しにくいので、以下と仮定して月額のコストを比較していきます。

  • 1時間あたりに検索されるファイル数は50件
  • 対象バケット数は1つ
  • 150円/USD

上記条件の場合、V1FSSの場合は過去の記事で試算しており、約66,000円/月となります。

C1FSSの場合は表より、1時間あたり50ファイルの検索については0.42USD/時なので、約44,000円/月となります。上記金額を単純に比較するとC1FSSの方が3割程安価という結果になります。
今回はスキャンファイル数をV1FSSの単位である「年間50万ファイルスキャン」に合わせて「1時間あたりに検索されるファイル数は50件」として試算しましたが、それでもC1FSSの方が安価となりました。そのため、ほとんどのケースにおいてはC1FSSの方が安価になると考えています。

最後に

今回はV1FSSとC1FSSについて比較してみました。積極的に新しい製品を使っていきたい想いに対して料金面でブレーキがかかってしまう状態は、少しもったいないなと感じました。今後のV1FSSの料金体系更新に期待です。

本記事がどなたかのお役に立てれば幸いです。